177人が本棚に入れています
本棚に追加
笑い声が、頭の中で木霊する。
鼓動が早くなって、息が荒くなる。
「ち、がう…」
壁に背をつき、ずりずりと床に落ちた。
「…学…?」
頭を抱えて、耳についた声を払うように頭を振る。
ー君は僕の玩具だー
「ちがう!!」
「学」
頭にそっとかざされる掌。
振り払おうとしたその瞬間、その掌の熱が、頭の中に浸透する感覚に陥った。
何…何だ?
暖かい。
「学、落ち着けよ。ごめんって、ごめん。俺も、調子乗りすぎたから。泣くなよ。」
後ろに手が回されて、優しく抱きしめられた。
あぁ、そうか、また私は…
冷静になって考えて、また他人に迷惑をかけてしまったと後悔した。
たまにある、この感覚。自分では制御できなくて、いつもいつも…
「…私は…」
呟いたその時、パッといきなり暗かった辺りが明るくなり、エレベーターが動き出す。
「…何だ…?」
目の前で抱きしめていた星人が顔を上げ不審に辺りを見回した。
ガタン
ある階でエレベーターが止まる。
扉が開き、放心状態の俺の前に、現れた人。
「…君達、何をしている?」
沢山のSPに囲まれて、見下ろされた。
「社長…」
「ぁ?社長?」
最初のコメントを投稿しよう!