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綺麗なピシッとしたスーツを着こなし、茶色い髪を程よく後ろへと流していて、顔立ちはまだ若いという事もあり整っている。
そんな彼を、星人は睨みつけている。
「ほら、邪魔だどけ」
周りにいる黒いスーツを身に纏ったSP達に声をかけられ、頭が働き出した。
…何をやっているんだ私は。目の前に社長がいるのに、こんな所に座って…ー
「す、すいません…っ」
「のわ、ちょ」
急いで立ち上がり、無理矢理隣にいた星人の腕を持ち立ち上がらせ、SPを掻き分けエレベーターから出る。
ヤバいな。社長に嫌われでもしたら当然会社でやっていけない。
「待ちたまえ」
背中越しから待ったをかけられ、ピクリと反応する。
この場合、振り返った方がいいのか?
隣にいるバカは相変わらず社長に睨みを利かせているが。
「笹丘君…だよなぁ…キミは」
「ぁ、は…はい…」
何を言われる?陣地移動か?クビか?はたまた隣のバカの事か?
「書類…化粧品改良の結果報告の書類がまだ未定出なんだが…今日中に私の所まで届けてくれないか?頼むね」
「は…は、はい」
バッと振り返り見れば、優しい笑みをした社長がエレベーターの中にいた。
ガシャンと丁度良く扉が閉まり、エレベーターが動き出した所で体の力が一気に抜けていった。
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