これぞ一目惚れ

13/19
前へ
/21ページ
次へ
綺麗なピシッとしたスーツを着こなし、茶色い髪を程よく後ろへと流していて、顔立ちはまだ若いという事もあり整っている。 そんな彼を、星人は睨みつけている。 「ほら、邪魔だどけ」 周りにいる黒いスーツを身に纏ったSP達に声をかけられ、頭が働き出した。 …何をやっているんだ私は。目の前に社長がいるのに、こんな所に座って…ー 「す、すいません…っ」 「のわ、ちょ」 急いで立ち上がり、無理矢理隣にいた星人の腕を持ち立ち上がらせ、SPを掻き分けエレベーターから出る。 ヤバいな。社長に嫌われでもしたら当然会社でやっていけない。 「待ちたまえ」 背中越しから待ったをかけられ、ピクリと反応する。 この場合、振り返った方がいいのか? 隣にいるバカは相変わらず社長に睨みを利かせているが。 「笹丘君…だよなぁ…キミは」 「ぁ、は…はい…」 何を言われる?陣地移動か?クビか?はたまた隣のバカの事か? 「書類…化粧品改良の結果報告の書類がまだ未定出なんだが…今日中に私の所まで届けてくれないか?頼むね」 「は…は、はい」 バッと振り返り見れば、優しい笑みをした社長がエレベーターの中にいた。 ガシャンと丁度良く扉が閉まり、エレベーターが動き出した所で体の力が一気に抜けていった。
/21ページ

最初のコメントを投稿しよう!

177人が本棚に入れています
本棚に追加