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「い…ま、何した…?」
違う、コイツは今、俺に何かをした。
「…何をした…今、何をした?」
確実に、今何かをされた。それは分かった。記憶がかき乱された感覚があった。…見られた、感覚があった。
「学…「出てけ!!宇宙人だからってな!やっていい事と悪い事ぐらいあるだろ!!」
コイツは、俺の記憶を覗いたんだ。
でも何故だ?あの感覚には覚えがあった。だから分かったんだ、覗かれたって。
星人は、赤い頬を押さえて顔を反らす。見つめてくる目はどこか切なそうで、だけど悪いのはお前だと学は視線で訴える。
「出てけ!!二度と関わりたくない!!もう帰ってくれ…!!!」
過去を見られるって事、こんなにも腹立たしい事はない。見られた見られた、あの忌々しい過去を。
怯えながら暮らしてきた今までの日々を。
哀れんだ人々の視線を。
人殺しと罵られていた事を。
「もうほっといてくれ…」
やっと復帰したのだ。やっと心の整理もついて、やっと普通の日々を送れるようになった。
これ以上望むものなんてない、と思った。
「学…」
「行けよ!!俺の事が…好きなら、…もうほっといてくれ」
掻き乱さないでくれよ、平和な日常を。
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