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熱い熱い初夏の夏。
今年の夏は一味違う。熱いってもんじゃないと、笹丘は思っていた。
何が悲しくてこんな黒いスーツ姿で外に出てなくちゃいけないんだ!まったく…
ピーンポーン
一般的なチャイム音。
ガチャリと出てきたのは化粧の濃い奥様的な人。
「あの、何か…」
「あ、私、あの、」
名刺を出す手がもたつく。片手でタオルを額に当て、ようやく名刺を出し差し出す。
「【天然岡化粧品】?何かしら?化粧品?」
「あ、えと、私共の会社の化粧品は他の化粧品会社と違いまして…「すいません、間に合ってますわ…」
ガチャンッ!
「……」
これだから嫌だ。
笹丘は笑顔を引きつり額を押さえきびすを返す。
目の前には営業車。
熱い中来ても、殆どがこのザマだ。化粧品なんて売れる筈がない。
ハァっと溜め息をつき、車に乗り込もうとした……その時……
ドガアアアアン!!!!グシャ
目の前で無残にも潰れる営業車。
そして目の前に現れた、有り得ない物体…。
「…痛ってー…ったくポンコツが…」
明らかに宇宙船と思われた所から出てきた、タキシード姿の、人…。見た感じ自分より年下なのが分かる。
「あ、そこのおにい…」
パッと目と目が合い、その瞬間、タキシードの奴が固まった。
な、何だ…?何故、固まった…?
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