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ウィーンと自動ドアが開き、中へと入る。
一気に冷房の涼しい風に当てられ、やっと生き返った気分になった。
にしても、後ろから付いてくるこのでかい宇宙人に誰も何の疑問を持たないのが不思議でならない。
「まったく…」
「なぁなぁ、学ってさ、それ、口癖?」
何か言ってきたが無視をした。
一々構ってたら切りがなさそうだ。
ピッとエレベーターのボタンを押し暫し待つ。
「なぁ学、まったくぅ~って口癖だろ?」
まだそれを言うか。
相変わらず無視。
ガシャンと音がし見れば、エレベーターが開く。
「ほら、乗れ。」
腕を引っ張り出し中へと乗せた。
向かうは5Fの社員室。
「おい、学」
「……お前、会社の中では極力話しかけるなよ…」
上へと上がる数字を眺めていれば、さっきの話しが分かったのか何なのか、声が聞こえなくなった。
やっと分かってくれたかと思った瞬間…、ダンッッと大きな腕が顔の横を掠めた。
「……っ!?」
ビクッと肩が震え、動けなくなる。
何があったのかと頭が付いて行かず、目の前の扉を見開いた目で見つめていた。
「俺の名前、まだ読んでくんないの?」
「……ッ」
不意に響かれた声に、見開いていた目をギュッと閉じる。
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