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「皇ちゃん、こっちむいて……」彼女は皇士郎の頬に手を寄せた。「こんなに腫れて。痛む?」
「口を出すなと申し――」
「こっからは私の領分よ! 口出さないで!」
と一蹴。というか、もはや半蹴。
ううっ、しのくん、俺の威厳って……。よしよし惚れる女を間違えたねよし殺そう。なんでっ!? という構図が庭に隅で出来上がる。
「ほら、あや」鷹遠は抱き上げていた愛娘を下ろす。「大好きなこうたんとこ行ってきなァ」
名残惜しそうに見上げるあやに、くいっと皇士郎に向けて顎をしゃくると、ぱっと顔が明るくなる。
「こうたぁあああああん、すきぃいいい!! いたいのいたいのとんでげぶっ」
「うわっ! なんもないところで転ぶな……」
「あぁあああああん」
「って、な、泣くな! ほら、どこが痛いんだ? 見てやるから起き――そんなにくっついたら見れんだろ!」
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