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俺はそいつらのもとに歩いていった。あくまでも普通に、それでも、そいつらひとりひとりをまんべんなく見るように心掛けた。
ただひとりを除いて、みんな一見フツウの小学生だった。まあ、女子もいるし、日本人に見えないヤツもいたけど。
たぶん、名門私立の制服を着て、校章入りのランドセルを背負っている俺のほうがよっぽどフツウに見えなかっただろう。
ただひとりフツウの小学生に見えない金髪以外の全員が俺を見ていた。
学校の連中や、先生や、ババア連中が言っていような怖さは感じなかった。
「なにアイツ」というよりも、「どうしたんだ、アイツ」というような、俺を心配してる目だった。
ひとりが金髪を肘で小突いた。反対どなりのひょろ長いやつが金髪に耳打ちした。
ふうん、金髪がアタマね。
俺が金髪の目の前に立ったとき、金髪が気怠げな顔を面倒くさそうに顔を上げた。
「俺も仲間に入れてよ」
表情を変えたのはまわりだけで、金髪は、まばたきすらしなかった。
「アホか。んなこといちいちきくなよ。いたけりゃいればいいだろ」
薫。
お前はその名前嫌ってるけど、俺は、べらぼうに似合ってると思うよ。
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