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朝ごはんは近所のおじさんたちとだいたい食べるって、どういうことなんだろうか。
おじさんたちは、信じられないくらい馴れ馴れしくて図々しくて驚いた。
頭に浮かんだことをまるまる口にしているような軽薄さで、俺がどう思おうかお構いなしに、なんでもかんでもガハハと笑い飛ばして、それで終わり。
薫に「テキトーに聞き流しとけ」って耳打ちされれば、特別な秘密を共有しているように思われて、意味もなく嬉しかった。
賑やかすぎる食卓には、昨晩の残りと思しきメニューが並んでて、とっくに食べ終わってる薫は、足を投げ出して情報番組をつまらなそうに眺めてる。きらたんサンは、ベランダで洗濯物を干してる。
ごちそうさまでした、と箸を置いた途端、薫の手が伸びてきて、俺が使った食器をさっさと流しに持っていってしまった。そのまま、ざーっと洗い始めて、あっという間に水切りかごに伏せられた。
「あ……どうもありがと」
どうしたらいいかわからなくて、後ろからやっと声を掛ければ、薫はハーフパンツで無造作に手を拭きながら、
「うし、遊び行こーぜ」
キッチンの並びにある玄関に出て、さっさと靴をはきはじめた。
洗濯かごを抱えたきらたんサンが、鬼のような声を張り上げる。
「薫! どこ行くんだよ!」
薫はもう玄関の外で、俺は薫ときらたんサンを交互に見やる。
「これから決めるー! たすく、おっせーぞ!」
「昼飯時には帰ってこいよ!」
「いいー! 外でテキトーに食う!」
タンタンタン、と、外階段を降りる軽快な音が聞こえきて、きらたんサンは、はあ、とため息をこぼした。
「まったくあの子は……」きらたんサンは俺に苦笑いして、「たすくクンも行ってきな」
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