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ブラブラ歩いているうちに、さらに2人増えた。
そうして、ただ歩いているうちに、飯食おうぜってことになり、薫たちは、ある店への階段をのぼりはじめた。ふと脇に目を落とすと、無点灯の看板に、「みなこ」と書かれたマットが干してある。
「え……大丈夫なの?」
どうみたって、準備中だ。もっというなら、どうみたって、スナックだ。
薫は俺に振り返って、ニッと笑った。
「大丈夫じゃなかったら、他あたりゃあいい」
そういう問題?
薫以外のみんなも、なんの疑問も抱いていないようで、準備中のスナックに向かっていく。
そうして、当たり前のようにスナックのドアを開けた。
チリン、とベルが鳴る。
本当に大丈夫かなあ、と階段の前で、立ち尽くしていると、中に入っていたはずの薫が、ドアから顔を出した。
「食いっぱぐれっぞ」
心臓がばくんっていった。
「早くこいよ、たすく」
スーパーボールが繰り返し跳ねるみたいな振動で胸がいっぱいになる。
「う、うん!」
言うやいなや、俺は、階段を一段とばしで駆け上がった。
ドアのベルがまたチリンと鳴った。
この、生まれてはじめての震えるようなかんじはきっと、「わくわく」だ。
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