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「今日からお世話になります。御田京子です。よろしくお願いします。」
「こちらこそよろしく、店長の河田です。で、この子が仕事を教えてくれる相田優子さん。何でも解らないことは彼女に聞いてね」
「はい。よろしくお願いします。」
相田優子さん。大学生でソバージュかかった長い髪を後ろで束ねてる綺麗な人だ。
「よろしくね。優子とか優ちゃんとか呼ばれてるから気軽にね。」
笑顔が可愛い。
「じゃ頼んだね。僕は会議に出なきゃならなくて。京子ちゃん、連絡先、メールか携番かメモして机に貼っておいて」
「あっはい。じゃメアド書いておきます。」
「ん、じゃ優子ちゃん後よろしく、行ってきます。」
「いってらっしゃい」
店長は会議に出なきゃならないとかで本社へ出掛けていった。店長が居ないときは優子さんが店を仕切るようだった。
「じゃ始めましょう。手始めに店内少し掃除しながら商品がどこにあるか覚えましょうか」
「はい」
掃除が仕事始めかと思ったけどまあまぁこんなもんなのかとモップを手に床を拭き出した。
「お客さんが入ってくるとチャイムが鳴るから、いらっしゃいませ~って大きな声で言ってね。」
「はい。」
「サービス業だから元気良くね♪」
「はい♪」
さっそくチャイムが鳴った。
「い、いらっしゃいませ~~~」
半分照れながら精一杯声を出してみるけどなかなか店内に響かない。
(そぅ言えば学校で大声張り上げるなんて事ないからなぁ~)
「いらっしゃいませ♪」
優子の声が店内に響いた。
「優子ちゃん、また来たよ♪」
店に入って来た常連らしい男が優子に声を掛けた。どうやら優子がお気に入りでコンビニの用事はここに来るのだとか…
(そぅ言えば私がここでバイトを決めた理由もあの声がきっかけだったなぁ~)
優子と楽しそうに話をしながら買い物をする男を見ながら京子は思い出した。
(お母さんから「卵がなかった…コンビニ行ってきて」って言われて夜な夜な来たときだったなぁ)
そんな事を思い出していたらまたチャイムが鳴った。
(よし!)
「いらっしゃいませ~」
何とか店内に響いた。
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