side及川 奈留

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これだけブーイングをしている生徒たち誰一人として、生徒会室に行って抗議をしないのは… それだけ、生徒会長の楓がカリスマ的な存在であり、信頼されている証拠だ。 しかも、どうせ抗議しても言いくるめられるだけで、何も変わりはしないことをみんな解っている。 あ~あ… せっかく決心したのに それがみんなパーになるのか… なんだか…涙出そうだ… 落胆のあまりに机に突っ伏していると、そんなあたしの背中をバチンと叩く者が一人… 「なぁに落ち込んでんの!学校がダメなら家でも公園でも待ち合わせて持ってきゃいいじゃない♪」 「き…京子…」 ちなみに、京子には彼氏がいて、他校なのでこの問題には無関係だ。だからこそ、第三者の目で考えてくれるという優しいヤツ。 「そう…だよな…!アイツん家知ってんだし!その近くに呼び出して渡せばいいよな!!」 「そうよ♪今日初挑戦デショ?ファイトよ!!」 文字どおり、京子に背中を押され元気が出てきた! 家に帰ると、母さんと父さんがいないのを確認してさっそく調理を始めた……… チャンスは父さんたちが出かけている二時間半…!! イメトレをやっていたお陰で、意外と順調に進めていけた。 もちろん、手つきは他人から見たら手を出したくなるほどモタモタと危うかっただろうけど; ひとまぜひとまぜに 楓への想いを込めて焼き上げたガトーショコラは… 少しぺしゃんこで不恰好だけども、我ながら上出来だといえるものが出来たことが本当に嬉しかった。 あとはラッピングして 明日渡すだけだ…!!! 6年間の想いと共に… .
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