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「…る………奈留…!夕飯できたわよ」
「ん…うん…。」
母さんに呼ばれて気が付けば、窓の外は真っ暗。
いつの間にか泣き疲れて眠っていたようだ。
って…ヤバイ!!
母さんにあのボロボロのガトーショコラ見られたかも!!;
そう思い、ガバッと勢い良く起き上がって机の上を見れば…
「あれ………?無い………」
確かにそこに置いていたハズのガトーショコラが消えていた…!!
部屋を見渡しても、それらしきものは見つからず…
もしかしたら、母さんが父さんに持ってってたりして!?;
という最悪なパターンを考え、猛ダッシュで茶の間に行けば、そこに父さんの姿は無かった。
「母さん…父さんは…?」
「あぁ、今夜は道場の師範の集まりでいらっしゃらないわよ」
そういや、なんか夕べそんなこと言ってた気もする…。
ここは、勇気を振り絞り、恥ずかしさを堪えて母さんに直接聞くしかない…!!
「か…母さん…あのさ、あたしの部屋の机に置いてあった…その…黄緑色のチェックの袋…持って行かなかった?」
すると、母さんが閃いたような表情を見せた。どうやら心当たりがあるようだ。
「私は持って行ってないわよ?」
「え゛っ!?じゃあまさか父さんが───!?」
母さんは、口元を押さえてクスクスと笑った。
ゲッ!!;父さんにあんなもの見られたら…!!!
そんなことよりも最悪な事態を、母さんが口にした…
「楓君が持って行ってたわよ?」
……何だってえぇぇ!!!!?
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