side及川 奈留

15/20
前へ
/69ページ
次へ
─────────── ───────── 「…る………奈留…!夕飯できたわよ」 「ん…うん…。」 母さんに呼ばれて気が付けば、窓の外は真っ暗。 いつの間にか泣き疲れて眠っていたようだ。 って…ヤバイ!! 母さんにあのボロボロのガトーショコラ見られたかも!!; そう思い、ガバッと勢い良く起き上がって机の上を見れば… 「あれ………?無い………」 確かにそこに置いていたハズのガトーショコラが消えていた…!! 部屋を見渡しても、それらしきものは見つからず… もしかしたら、母さんが父さんに持ってってたりして!?; という最悪なパターンを考え、猛ダッシュで茶の間に行けば、そこに父さんの姿は無かった。 「母さん…父さんは…?」 「あぁ、今夜は道場の師範の集まりでいらっしゃらないわよ」 そういや、なんか夕べそんなこと言ってた気もする…。 ここは、勇気を振り絞り、恥ずかしさを堪えて母さんに直接聞くしかない…!! 「か…母さん…あのさ、あたしの部屋の机に置いてあった…その…黄緑色のチェックの袋…持って行かなかった?」 すると、母さんが閃いたような表情を見せた。どうやら心当たりがあるようだ。 「私は持って行ってないわよ?」 「え゛っ!?じゃあまさか父さんが───!?」 母さんは、口元を押さえてクスクスと笑った。 ゲッ!!;父さんにあんなもの見られたら…!!! そんなことよりも最悪な事態を、母さんが口にした… 「楓君が持って行ってたわよ?」 ……何だってえぇぇ!!!!?
/69ページ

最初のコメントを投稿しよう!

820人が本棚に入れています
本棚に追加