black butterfly

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  駅構内を舞う黒揚羽 噎(む)せ返る熱の中揺ら揺ら飛ぶ 若(も)し出口を知り得ぬなら 線路の上にて死のうか 滴る汗の行く先 渇き切らんとせども 湿る此の空気の中 終わることも出来ぬのか 其の嘘が実であるなら 私を抱く時必ず接吻(キス)して 理屈で負かされるのは飽きたわ もっと私を感化して 理解者など存在し得ない 其れを解って私を愛して 空に還る黒揚羽 蒼色に黒は不自然で 自ら消さんとする己を 消せずに居る哀しき生き物 輝く粉を撒いても 惹かれ憑いてくる男は 貴男じゃない アナタにしか接吻させない その嘘が実であるなら 私は此処でこんなにも 絶えぬ雫を溢しては 叫んだりはしないわ その嘘が実であるなら その嘘が実であるなら 何度そう願うたか 貴男は知らないでしょう  
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