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コンビニの自動ドアを抜けると、途端に空気が冷たくなった。
まだ秋も中頃の季節だが、夜はさすがに寒さが厳しい。
俺はぶるりと震えると、早めに出してきた毛糸のマフラーに顔を埋めて歩き始めた。
コンビニのレジ袋が風に煽られて、やけに重たく感じる。
石畳の道路には、街路樹の葉がちらほらと落ち始めていて、風に転がされて、カツカツと音を発てている。
なんとなくその葉を見つめていると、跳ねるように転がる様子にアイツの姿が重なって見えた。
いつも俺の周りを跳ねまわっていて、アイツと居ると自然に笑顔になっていた。
アイツ、俺が笑うともの凄く幸せそうに笑ってたっけ……
いつも傍に居てくれたから、あのときはそんなことにも気付いてやれなかった。
俺はいつもしかめっ面するばっかりで、アイツが好きでいてくれた笑顔を、ろくに見せてもやらなかった……
アイツが笑っていてくれたのに、俺は笑い返してやることもしなかった。
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