prologue

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   そんなことを考えていると、いつの間にか家の前についていたらしい。  俺は空いている方の手を、クマのワッペンが貼られたコートのポケットに突っ込み、青く澄んだイルカのキーホルダーにくっついている鍵を取り出した。  鍵穴に鍵を差し込み、左に捻ると、鍵は簡単に開いた。  俺は鍵穴から鍵を抜くと、少し離れて様子を見てみた。  最近、癖のように繰り返していることだ。  もしかすると、アイツがこのドアをぶっ壊さんばかりの勢いで飛び出して来るんじゃないかと思って……  だが、ドアは相変わらず何の変化も見せず、俺の前にあるだけだった。  俺はため息をついてドアを開けると、乱雑に靴を脱ぎ捨ててベッドに向かった。  部屋の中は片付いているわけでもないが、そこまで散らかっているわけでもない。  部屋はコイツが眠りについたときと、だいたい同じような状態を保っている。  少なくとも、床に窓ガラスや食器の破片が落ちている状態ではない。  こうしてみると、部屋を散らかしていたのは誰か、一目瞭然だな。  俺は部屋のほぼ真ん中に置かれたテーブル……というかちゃぶ台にレジ袋を置き、ベッドに歩み寄った。
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