第二十二章~遼東征伐~

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…年が明けた景初二年(238年)一月、曹叡はついに太尉の司馬懿に命じて遼東の公孫淵を討伐させるとの詔勅を下した。 前年から遼東に近い青州・エン州・幽州・キ州の四州に命じて、大規模な造船が進められており、群臣達にとっては「ついに」という気持ちが強かった。 曹叡は司馬懿を呼び寄せる前に、群臣達に言った。 「皆よく聞くが良い。公孫淵は度々我が国に背き、その信義は地に墜ちたものだ。時は来た。今こそ我が軍の武威を示し、遼東を制圧するのだ。すでに太尉の司馬懿が洛都に向かっている。朕は彼に四万の軍勢を与え、敵を撃滅せんと考えている。皆もそのつもりでいるのだ」 群臣達は曹叡が威風堂々と宣言する姿に圧倒された。 やがて静まる一堂から進んで、夏侯献が言った。 「陛下の宣誓には我々も異論はありませぬ。しかしながら、四万とは多すぎるのでは…。今は天候も不安定です。戦費がまかないきれるか心配です」
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