第一章~曹丕と甄氏~

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ギョウを救援しようとした袁尚だったが、曹操の攻勢の前にたちまちに破られて後退した。 曹操は隙を与えず、この軍を包囲しようと軍を動かした。 袁尚はやがて曹操軍の強さに恐れをなし、降伏を申し入れたが、もはやそれは許される状況では無かった。 袁家はまさに曹操の仇敵であり、共存は望めなかったのである。 袁尚は一度は包囲を突破したが、やがて配下の将にも裏切られ、さらに北に逃げた。 一方、ギョウの城内では長い包囲により大多数の餓死者を出していた上に、袁尚の援軍も敗れた事を知らされると、多くのものが戦意を無くしてしまった。 守将の審配は最後まで戦う決意を固めていたが、旗下の兵士はそうはいかない。 やがて城の東を守備していた審配の甥の審栄が、夜に城門を開けて曹操の軍を城内に招入れてしまった。 城内は市街戦になり、審配はついに生け捕りにされた。 そして、壮烈に弱音を吐かず、降伏を拒んだので、処刑されたのである。
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