第二十章~時流~

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…そうした止められない衝動に動かされながらも、曹叡はただの暴君になった訳では無い。 同年六月、詔勅を下して言った。 「古えの時代は刑罰はありながらも、それは用いられる事は無かった。然るになぜ今は犯罪が多く起こるのか。朕は考えた。以前は死刑について考えて、多くの項目を削除した。これこそ朕の真心であった。しかし、それでも尚、獄死する者の数は多い。これは我が思いとはかけ離れたものである。皆は良く裁判し、もっと寛大に努め、情状を訴えるならば朕に上表せよ。弁明をさせないまま裁いてはならぬ。これを天下に布告し、朕の意図を知らしめよ」 このように曹叡は法の運用を常に考えて、弊害を無くそうと何度も勅令を出したのだった。 若い頃は法の厳しさばかりが目立った曹叡の法治であったが、年を重ねて様々な思いを味わい、徐々にその点が柔軟になったのである。
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