第二章~母の死~

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そう言うと、近侍の者に木槌を持ってこさせた。 曹叡はおもむろに玉を手に取り、その木槌を振り降ろして、玉を砕いてしまった。 驚く群臣達に、曹叡は微笑んで言った。 「ほら、解けましたよ」 場は静まり返り、次の瞬間、笑いが巻き起こった。 「これはお見事ですな」 「なるほど、丞相が側に置くのも納得ですな」 曹操も笑いながら言った。 「わが家は元仲、そなたが三代目となるだろう」 この時にはまだ曹操の後継者は定まっておらず、曹丕も太子では無かったから、この発言からも、どれだけ彼が曹叡をかわいがっていたかが分かる。 曹叡は幼い頃から学問を好み博識であり、特に法律学に興味を持っていた。 この点からも、始皇帝となった贏政〈エイセイ〉と共通するものがある。 しかし彼が好んだのはあくまでも学問であり、その即位に至るまで政治には無関心であった…
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