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…年が明けて、曹叡はかねてから論じられた暦を改定し、青龍五年(237年)三月を景初元年四月と改めた。
これは今まで使っていた漢王朝の暦を見直し、さらに古代の暦にしたものである。
曹叡が即位してから、群臣達はこの事を論議してきたのだが、その意見は常にまとまらず、いつ改定されるかもはっきりしなかった。
曹叡は太子であった頃から古典を熟読し、様々な経典を読んだ結果、このように決めて詔書を出したのである。
改元を済ませると、燕王の曹宇が言った。
「陛下のお召しにより、しばらく任地であるギョウ都を離れていますが、一度戻って直接諸事を確認したいと思います」
曹叡は渋い表情をした。
「陳羣が亡くなり、朕の側は寂しくなるばかりだ。彭祖まで去るというのか」
曹宇は礼をとって言った。
「ギョウ都は我が国にとって重要な都市です。何事も疎かには出来ません」
「…仕方あるまい。しかし、また召す時はすぐに来るのだぞ」
曹宇は微笑んだ。
「分かりました。では失礼致します」
曹叡は退出する後ろ姿を見やり、ため息をつくのだった…
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