第二十一章~毛皇后死去~

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…燕王の曹宇が朝廷を出た事で安心した人物もいる。 侍中・光禄大夫の劉放と孫資の二人である。 劉放は言った。 「燕王が洛都を去ってくれて助かった。あの方が陛下の任を受けて要職についたら、やりにくくて仕方が無いからな」 曹宇は常々、彼ら二人が曹叡の側にあって権力を握っている事を快く思っておらず、何度か上表して意見を述べた事があった。 この当時、二人は機密の事柄を決定し、関わらない政治は無かった。 彼らは自ら横暴を振るう事は少なかったが、上手く曹叡の気持ちにそって従順であり、是非の判断をはっきり述べ無かったために皇帝の最も近くに居れたのである。 これは曹叡の性格や、群臣の配置に関する意向によるものだったが、曹宇や秦朗ら他の者は不快に思っていたのだった。 孫資はまだ真面目で慎み深い性格だったが、劉放は品性は良いとは言えず、保身に対しても策を用いる所があった。 結果として、この事が魏の曹一族の命運を大きく左右することになるのである…
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