第二十一章~毛皇后死去~

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…呉の孫権は遼東の公孫淵を深く恨み、朝鮮半島の国・高句麗と通じて遼東を攻めようとした。 さらに彼は公孫淵が魏を裏切ろうといているとの流言をながして、遼東の孤立を図った。 魏の朝廷にその報が届くと、中領軍として曹叡の近くに仕え始めた夏侯献は言った。 「かつて公孫淵は魏と呉に二股をかけていましたが、やがて呉を見限り我が国に帰順しました。また彼と高句麗とは仲が悪く、我が国の征伐を恐れています。今、使者を送り彼に利害を説けば必ず心服するでしょう。公孫淵が裏切るというのは、呉が流した噂でしょう」 曹叡は夏侯献の言葉の正しさを認めながらも、目の上のこぶであった遼東を討つ好機であると考えた。 「よし、公孫淵に使者を送れ。ただし、洛都に自ら来て事情を説明するように言うのだ」 夏侯献は言った。 「陛下、追い込めば逆に彼を蜂起させる事になりかねません」 「その時はその時だ」 曹叡はきっぱりと言って断じた。 「荊州にも使者を送れ。刺史のカン丘倹を、遼東と隣接する幽州の刺史に任ずるのだ」 さらに曹叡がこのように言うと、群臣達は皆皇帝の意志を悟って一礼するばかりであった…
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