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…カン丘倹は任地が移ると、頷いて言った。
「陛下は遼東を征伐するつもりだろう。よし、出撃の許可を得ようではないか」
彼は上表して言った。
「呉は長江の流れが、蜀は山の険阻があり、攻めるのは容易ではありません。まずは遼東を討つが宜しいかと考えます」
重臣の衛臻〈エイシン〉は慎重策を進言したが、曹叡は言った。
「朕は亡くなった陳羣と約束したのだ。必ずやこの中華を統一するとな。公孫淵は朕に従うような輩では無い。これを討たずして大業が成ろうはずが無い」
曹叡はカン丘倹に出撃を命じて、遼東との境に軍を駐屯させたのである。
公孫淵はこの魏軍の動きを見て言った。
「カン丘倹の行動は彼の独断ではあるまい…。魏帝め、このわしを本気で攻める気か…!洛都に行けば命はあるまいっ」
彼は怒りと失望で拳を震わせた。
しかし、危機がすぐ目の前に迫っている。
いつまでも悔しがっているだけでは、座して死を待つだけでは無いか。
公孫淵はすぐに呉の孫権に使者を送り、再び誼を通じようとしたのだった…
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