第二十一章~毛皇后死去~

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…毛皇后はその時、静かに自室にて書物を読んでいたが、曹叡が秘密にする様に厳命したにもかかわらず、彼女に知らせる者がいた。 毛皇后は黙って頷いて、その者を下がらせてため息をついた。 (もはや郭夫人が陛下の御心を得ているのね…。無理もない、余りにも辛い事が多かったもの…。わたしが深く気にしても仕方が無いわね) 翌日、何となく気まずさを覚えて曹叡は毛皇后のもとに足を運んだ。 彼はその事を言おうか言うまいか、果断をもって知られる彼らしくなく、決断出来ずにいた。 (朕は皇帝では無いか。何を迷っているのか) その時だった。 毛皇后が不意に微笑んで言った。 「昨日は北の庭園にて宴を開かれて、楽しゅうございましたか」 曹叡は息を飲んで彼女を見た。 (何故知っている?!誰かが洩らしたかっ) 彼の心は激しく動揺し、それは彼自身にも制御出来ないものとなった。 「朕が何をしようとも、自由では無いか?!そなたの許可を得なければならんかっ」 毛皇后はあまりの曹叡の剣幕に驚き、血の気が引くのを感じた。 「陛下、お許し下さい。決してその様な…」 曹叡は怒り収まらず、たちまちに人を呼んで、洩らした疑いのある彼女の側仕えの者を十人以上に死刑を命じて、毛皇后に背を向けたまま言った。 「そなたにも自害を命ずる」 「陛下…」 毛皇后は涙を流した。 しかし、曹叡は何かを振り切るようにその場を後にしたのだった…
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