第二十二章~遼東征伐~

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…景初二年(238年)六月、司馬懿は遼東に到達した。 公孫淵はその前にカン丘倹を退けていたので、少なからず自信を持って将軍の卑衍〈ヒエン〉と楊祚〈ヨウソ〉に兵数万を率いさせて派遣し、遼隧〈リョウスイ〉に駐屯させた。 さらに二十里以上にわたって塹壕を掘り、守りを固めた。 司馬懿はこれを見て言った。 「なるほど、堅い陣のようだな」 副将のカン丘倹は言った。 「いかがしましょうか」 「敵の思惑に乗ってやる事は無い。すぐに迂回路を作るぞ」 その時、公孫淵の将・卑衍が魏軍を迎撃しようと現われた。 司馬懿は将軍の胡遵に命じて戦わせた。 彼は文武に優れた将で、堅実な用兵を司馬懿に評価されていた。 胡遵が卑衍を撃破すると、司馬懿は一旦軍を後退させた。 卑衍らは言った。 「我らの守りが堅いため、攻めあぐねて再編しているのだ」 ところがこれは司馬懿の仕組んだ陽動であった。 彼はすぐに方向を変えて迂回し、直接公孫淵の拠点である襄平に進撃し始めたのである。 これに驚いた卑衍らは夜に軍を撤収、慌てて防備の薄い襄平を守ろうとした。
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