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…曹叡が意識を取り戻したのは、倒れてから二日後の事だった。
(ここは…)
まだ目の前がはっきりしない。
おぼろげな視界が徐々に明るさを取り戻しだすと、そこは自分の私室である事に気付いた。
(朕は…どうやら意識を失っていたのか…)
「…陛下!」
傍らにいた郭夫人が曹叡の様子に気付き、声を上げた。
曹叡は彼女を見て、安心させようと頷いてみせた。
「紙と…筆を…」
曹叡は郭夫人に支えられながら身を起こして、力が入らず震える手を何とか律しながら詔書を書いた。
「彭祖を…、燕王(曹宇)を呼ぶように…」
使者はすぐに洛陽を出てギョウ都に向かった。
詔書を受け取った曹宇は使者に言った。
「陛下の病状はどうなのだ」
「…陛下のご病状は日に日に悪くなる一方です。医師ももはや回復の見込みは少ないと…」
「そうか…」
曹宇はため息をついて言った。
「こんなに早くその様な事態になるとは…。分かった、すぐに出発しよう」
「お急ぎ下さい」
曹宇は頷いて立ち上がり、側近に命じて出発の仕度を急がせるのだった…
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