第三章~皇太子~

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…黄初三年(222年)三月、曹叡は平原王に爵位が上げられた。 十八才になった彼は、容姿に優れた若者に成長していた。 母が亡くなってから髪を伸ばして、その先は立つと地面に着くほどだった。 甄夫人が自害した後、曹叡は子供の居なかった郭皇后〈カクコウゴウ〉が養育することになった。 母が失言したのも、郭夫人に対する寵愛が原因だったので、曹叡は内心穏やかでは居られなかった。 しかし、母が亡くなってから冷静に物事を考えるようになった彼は、それを表には出さず、郭皇后を敬うようにしたのである… …ある日、郭皇后は自分に仕える女官長に尋ねた。 「平原王(曹叡)の様子はどうかしら?」 女官長は礼をとって言った。 「平原王様は、毎日朝と夕方に皇后様の様子やご機嫌を、わたしにお尋ねになります。皇后様の事をとても気にかけてらっしゃいます」 「そう…」 郭皇后はただ頷くばかりだった。
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