第三章~皇太子~

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…そうした理由から、郭皇后は曹叡の事を非常に気にかけていた。 女官長からの話を聞くと、彼女は曹叡を不憫に思った。 (ああ、この子はまだ若いながらも立場をわきまえて、私に接しようとしている。もし、亡くなった時の話を聞けば、とても普通には接する事が出来ないだろうに…) 郭皇后には子供がいなかった事もあり、次第に曹叡に慈愛をそそぐようになった。 だが、曹叡にしてみれば、なかなかそれは受け入れられる物では無かった。 表面上は郭皇后を敬っていても、その内までは、やはり納得出来ていなかったのである。 曹叡は、郭皇后の勧めで河内の虞氏を妻に迎えた。 しかし、郭皇后の事があったので、本心から妻を好きにはなれなかった。 (わたしの妻まで郭皇后に決められるなど、とても納得出来ぬ) そう思い、気分は常に晴れないでいた。
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