第一章~曹丕と甄氏~

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家族が皆仲良く、平和に生活するのが彼女の望みであった。 しかし乱世にあっては、このような事は望むべくも無い。 姑の劉氏は、甄氏がよく働き、人を和ませて、賢く機転がきく事を気に入っていた。 ある時、劉氏は言った。 「あなたはいつも良く仕えてくれていて、私も助かっているわ。でも情勢が危険になってる今、あなただけでもここを出て、どこかに身を隠しなさい。お腹にも子供がいるのだから」 甄氏は言った。 「ありがたいお言葉ですが、心配は無用です。お母様と共にこの家を守るのが私の役目だと思っていますし、家族がバラバラになって、どうして安心して暮らせるでしょう」 劉氏はいたく感銘を受けて、甄氏の手を取って涙したのである… …しかし、やがて曹操のギョウへの攻撃が始まると、日を追うごとに彼女達の周りの状況は悪化していった。
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