第一章~曹丕と甄氏~

4/9
前へ
/223ページ
次へ
この時ギョウを守備していたのは、袁紹の代からの臣・審配〈シンパイ〉であった。 彼は曹操に内応したものを発見して、戦った後これを追い出した。 また、曹操が地下道を掘って攻めようとすれば、審配も塹壕を掘って対抗し、さらに堀進めた穴に河の水をひいて流し込むなど、激しい抵抗をした。 この時ギョウは袁譚の弟の袁尚の勢力下にあったから、彼は一万の兵を率いて援軍に赴いて、その事実をのろしを上げて審配に知らせた。 審配はその報告を聴いて、兵士を励まして言った。 「皆、援軍が来たぞ! よし、援軍と呼応して城内から討って出て、敵を打ち破るのだ」 城内の士気は上がり、勇躍出撃したが、これは曹操の思うつぼだった。 「やはり出て来たな…」 曹操は自分の頭で描いた通りの展開になったので、満足して頷いた。 彼は一気に城から出た兵に迫り、これを破って城内に押し戻すと、返す刀で袁尚の軍に攻撃をかけたのである。 恐ろしいばかりに完璧な、各個撃破戦法であった。
/223ページ

最初のコメントを投稿しよう!

967人が本棚に入れています
本棚に追加