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最初に目に入ったのは、黒いスーツを着た金髪の青年だった。僕が何かを言う前に、彼の方が先に口を開いた。
「おはよう、救世主くん」
彼は嫌みなほど柔らかい笑みを作っている。
「僕は君を造った者。そしてこれから君を補佐する者だ」
造られた。
何も分からなかった。どうして僕はここにいるのか? 僕は何者なのか?
「戸惑うのも無理はない。君はたった今、私の力で造り出されたんだ。世界を救う、『救世主』としてね」
世界を救う?
僕は思わず彼の目を見た。僕は何も知らない。自分のことすら何も分からない。それで世界を救うなど、馬鹿げた話だ。
「そうだね、順序立てで説明してあげよう。まず君はこの世界について知らなくてはならない。君はまだ何も知らないのだからね」
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