序章

2/6
前へ
/25ページ
次へ
 最初に目に入ったのは、黒いスーツを着た金髪の青年だった。僕が何かを言う前に、彼の方が先に口を開いた。 「おはよう、救世主くん」  彼は嫌みなほど柔らかい笑みを作っている。 「僕は君を造った者。そしてこれから君を補佐する者だ」  造られた。  何も分からなかった。どうして僕はここにいるのか? 僕は何者なのか? 「戸惑うのも無理はない。君はたった今、私の力で造り出されたんだ。世界を救う、『救世主』としてね」  世界を救う?  僕は思わず彼の目を見た。僕は何も知らない。自分のことすら何も分からない。それで世界を救うなど、馬鹿げた話だ。 「そうだね、順序立てで説明してあげよう。まず君はこの世界について知らなくてはならない。君はまだ何も知らないのだからね」
/25ページ

最初のコメントを投稿しよう!

26人が本棚に入れています
本棚に追加