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食べ終えると、彼は紙ナプキンで口を拭いた。見てみると、僕の手元にも同じ物が置いてあった。まただ。こんなものはさっきまで存在しなかった。
「気が付いたかい」
彼は僕の様子を見て、笑いながら言った。
彼はテーブルの上に右手のひらを乗せ、その手を左手で指差した。それから、手のひらを一度閉じてもう一度開いた。手にはガラス玉が乗っていた。
「元々存在しないものを出現させる。私にはそういう力がある。君もそうやって造られたんだ」
彼はそう言ってガラス玉を床に落とした。それは大きな音を立てて粉々に砕けた。
「ただし、存在を消すことはできない。壊すしかないんだ。だから、極力無意味なものは作らないようにしている。この意味がわかるかい?」
彼は笑顔を保ちながら、低く聞き取りやすい声で言った。
「君が自分の使命を忘れた時、君の存在価値は全くの無になる。これだけは忘れるな」
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