二章

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 梯子を上った先にあったのは、明るい森だった。木漏れ日が草を照らし、静かに流れる風がそれをなびかせている。さっきまでいた白い空間が嘘のようだった。 「さて、これから二人で旅に出ることになる。君には存分に働いてもらうよ。覚悟はいいね?」  僕は頷いた。 「分かっているとは思うが、君がしっかりしてくれないと、この鳥の声も、美しい自然も、全て失われることになる。それは肝に銘じてくれ」  そう言って彼は歩き出し、僕もそれに続いた。耳をすますと、遠くの方から鳥の声が聞こえた。確かに、失わせてはいけないもののように思えた。  彼は軽く振り返りながら僕に言った。 「さて、君には一つ学んで欲しいことがある」
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