二章

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 彼は歩みも止めることもせず、前を向いたまま淡々と話した。 「君は邪悪を止める役目を担っている。だが、その方法を君はまだ知らない。そもそも君は『邪悪』がどんな存在かすら分かっていない。そうだね?」  そう言った後、彼は子供のように笑いながら振り向いた。僕は笑顔以外の彼の顔を見たことがない。 「しかし私は君に、あれが邪悪だ、などと具体的に教えるつもりはない。なぜなら、知る必要がないからだ。君は邪悪を知らなくても、それを止めることができるんだ」  知らなくても止められる。邪悪とはいったい何なのだろう? ますます分からない。  彼がそこまで説明したところで、森の出口とその奥にある村が見えてきた。柵に囲まれた中に平屋が立ち並び、その間には畑があるのが見える。 「そろそろ村に着くね。まずは宿を取って、詳しくはそこで話そう」
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