きらり

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 女性の腕を水道水で洗い、持っていたハンカチできつく縛った。  落ち着いて女性を見ると12月にしては随分薄着だった。 「これ、着て下さい」  女性の肩にジャケットをかけると、また女性は泣きながらにかっと笑った。  ベンチに座り、女性が落ち着くのを待った。  心配だったのだ。 腕の傷は、おそらく自分で切ったものだ。 他にも無数の切り傷があった。  黙って座っていた女性が、ふいに言った 「私、きらりっていうんだ」
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