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自然に視線はそのまま自分の手元に移る。
黒い動物の手だった。
『寝ぼけているんだろうか…』
恐る恐るベッドから降りると、視界が異様に低く感じる。
いや、視界が低いのだ。
鼓動が早くなる。口から今にも心臓が飛び出るのではないか。
逸る鼓動を抑え、視線を走らせると見覚えのない鏡台が見える。
ふと部屋を見回すと、自分の部屋ではないようだ。
『一体何が起きたんだ?』疑問が沸き上がる。
黒い手足。低い視界。
自分の姿を確認したかった。
その瞬間、目が覚めるだろうという淡い期待は粉々に砕けた。
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