第一章

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「蟲か? こざかしいわ」 向かってくる蟲に向けて、ハクは小さく吠えた。 その咆哮は超音波のように、大気を震わせ、向かってくる蟲達を、粉々に粉砕した。 ハクが蟲への戦闘態勢を取ったため、支えを失った賢一の身体は、道路に寝転ぶように倒れた。 「小僧!!」 賢一は寝てるというより、気を失っているように、倒れたまま動かない。 今度は道路脇の溝から、蟲が這い出してきた。 後から後から這い出してきて、道路が見るまに、蟲で埋め尽くされていく。 ハクは再び、道路の蟲の方に向き直り、身体を低くして、戦闘態勢を取った。
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