第一章

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夕方降った、夕立のせいか、大気は湿度が高く、濃密で、妖しい雰囲気を、夜の闇に溶かしていた。 時刻は午前2時過ぎ。 丑三つ時である。 息をひそめるように静まりかえった住宅地の道路を、1人の少年と、1匹の猫が並んで歩いていた。 少年は中学生のようで、顔にはまだあどけなさを残し、パジャマなのか部屋着なのか、ラフなカッコでだるそうに歩いている。 眠たいのか、ときおり眼鏡の奥の目をこすりながら、あくびを噛み殺している。 少年に並んで歩いている猫は、真っ白く、普通の猫より一回り大きい。 だが。大きい猫特有ののっそりした歩き方ではなく、地面に足がついていないかのように、軽やかに歩いている。
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