第一章

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牛ほど大きくなった猫の身体は、月の明かりに照らされて、白く光っているようにも見えた。 猫は大きくなった自分の姿を眺めて、 「大きさは良いとして、なんだこれは、身体がスカスカじゃないか。猫のままだし……まだまだだな」 叱るように賢一に言った。 賢一は疲れたような顔をして、口をとがらせて反論した。 「だいたい無理なんだよ。猫を虎にしろっていうのが、いいじゃん、猫のままで。ハクもそっちの方が可愛いって」 「……噛み殺しされたいのか」 猫は少年を一喝して、黙らせた。
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