第1話「始まり」

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(朝か・・・そろそろ起きよっかな) 小さな小屋の中にベッドが1つ。 そのベッドから少年がゆっくりと体を起こす。 窓から差し込む朝日が妙にすがすがしく、気持ちがいい。 どうやら今日は晴れているようだ。 少年の名はカズ。 短い黒髪に大きな眼、そして至極幼い顔立ちが印象の少年である。 ジーア村。 それが「スロウディア」と呼ばれる国に位置するこの村の名前だ。 この村はハンターの拠点であり、ここで生まれ育ったカズもまたハンターなのである。 「ハンター」とは。 早い話が狩人なのだが、小動物を狩るだけの狩人とは違う。 この世界の食物連鎖――頂点に立つのは人ではない。 その頂点に立つのは、飛竜。 飛竜とはその名のとおり「飛ぶ竜」である。 硬き甲殻を持ち、独自の進化を遂げた飛竜種は進化の究極系とも呼ばれている程だ。 その飛竜から見れば人など、むしろ搾取される側。 だが人は遥か昔から飛竜に対する知恵を付けてきた。 その集大成が「ハンター」という職業になったのである。 ハンターは様々な技術、道具、知恵を用い飛竜を狩る。 そして生きる糧とする。 恐らくそれはこれからも変わらないことだろう。
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