12人が本棚に入れています
本棚に追加
「向かう場所は森と丘。間違いないな?」
「え?あ、うん。合ってるよ」
確認のためか、動き出してすぐに御者がカズに聞いた。
御者はわかった、と短く言うと無言で馬車を走らせ始める。
特に話すこともないのだから当たり前か。
「そういえばあんた、名前は?俺はシュウってんだが」
そんなことを考えていた時、ふいにもう一度御者の声が聞こえた。
どうやら御者はシュウという名前らしい。
「俺?俺はカズだけど」
カズは訳もわからないまま名乗り、シュウの反応を待つ。
だがシュウはそれ以上何も言おうとしない。
不思議に思って聞いてみると名前も知らずに運ぶのは嫌なんだー、とかなんとかシュウは言っていた。
最初のコメントを投稿しよう!