第1話「始まり」

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「向かう場所は森と丘。間違いないな?」 「え?あ、うん。合ってるよ」 確認のためか、動き出してすぐに御者がカズに聞いた。 御者はわかった、と短く言うと無言で馬車を走らせ始める。 特に話すこともないのだから当たり前か。 「そういえばあんた、名前は?俺はシュウってんだが」 そんなことを考えていた時、ふいにもう一度御者の声が聞こえた。 どうやら御者はシュウという名前らしい。 「俺?俺はカズだけど」 カズは訳もわからないまま名乗り、シュウの反応を待つ。 だがシュウはそれ以上何も言おうとしない。 不思議に思って聞いてみると名前も知らずに運ぶのは嫌なんだー、とかなんとかシュウは言っていた。
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