53人が本棚に入れています
本棚に追加
僕の脳は思考を止めた。
目の前が黒くなり、世界がモノトーンに侵されていく。
行けば、マリアには一生会えない。
行かなければ…死。
どうにかする手立ては無いか。
命乞いでもするか?
いや、無駄だ。
この国の女王陛下は残酷で名高い。
金と権力に物を言わせ、今までも好きな様に人を殺してきた。
しかも相当なサディストらしく、二つ隣の街に使いを寄越しては死にかけた人間を攫い、いたぶっていると聞く。
噂では、急死した夫でもあるジェームズ・オールヴァンズ王も、女王が暗殺したのではないかと囁かれている。
まず、命乞いには応じないだろう。
臣従であっても、逆らった者には死の制裁を。
そういう人だ。
城に幽閉されるとなると、一生城で過ごす事になる。
僕はマリアに逢う事も許されず…死ぬ。
しかも悪魔のような女王陛下だけを描き続けなければならない。
地獄だ。
最初のコメントを投稿しよう!