讃歌

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意識を手放してから、僕はどれ程の時を闇の中で過ごしたのだろう。 体中に嫌な汗をかいていた。 目を覚ました場所は、良く見慣れた自分のベッドの上だった。 手を伸ばせば、意識を失う前に感じたマリアの温もりがよみがえりそうで、利き腕である左の腕を真上に挙げた。 当然ながら、温もりは感じない。 感じたのは、幾分動きづらくなった自分の腕の重みだけだった。 「バース!良かった、もう苦しくない?大丈夫?」 マリアが安堵したように目に涙を浮かべて近づいてきた。 掲げた腕を握ってくれたが、彼女の手は冷え切っていた。 「ごめん、また倒れちゃったね…」 「あなたが謝る事じゃないわ」 そう言って、彼女はタオルと着替えを取りに行く。 僕が倒れるのは、初めてでは無かった。 強い刺激や衝撃を受けると、僕は自らの意思と関係なく意識を手放してしまう。 心臓を鷲掴みにされた様な、激しい痛みと共におこる発作。 常に変動する脈。 よく、肖像画を描いた直後に襲われた。 僕は、原因不明の難病を患っている。
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