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テーブルへ戻る僕の足取りが重いので、マリアは変に思ったようだ。
「どうかしたの?」
すでに椅子に腰掛け、不思議そうに首を傾げている。
額に掻いている汗を見られないように袖で少し俯いて、彼女の作った朝食に目をやった。
同時に、思わず溜め息が出そうになる。
幸いなことに、僕が絵を描くとそれが動いたりするもんだから、どこぞの金持ちがお金を落としてくれる。
その金でなんとか生活できる状況だが…
このご時世だ。
依頼の数も減ったし、いつまでも絵だけ描いてる訳にもいかないだろう。
目の前にあるポタージュスープはポテトの量が少なくて、具も殆ど無い。
焼かれたパンにも、高価な卵やバターなど入っていない。
はっきり言ってこのままじゃ、マリアを幸せにすることは愚か…路頭に迷わせる事になりかねない。
女王陛下の傍へお仕えすれば、マリアの下に僕の給金が入る。
もちろん僕は幽閉されているわけだから、食には不自由しないで済む…
「バース?どこか具合でも悪いの?」
そこまで考えた所で、マリアの怪訝そうな顔が視界に飛び込んできた。
どんな顔をしていたのか自分では分からないが、よっぽど暗かったんだろう。
慌てて笑顔を作る。
「いや…うん、ちょっと寝ぼけてた!ごめんごめん!」
言わないでおこう。
彼女には心配なんてさせたくない。
僕は、マリアと離れてなんて暮らしていけない。
「…そう。早く食べないと、神父様の所に間に合わないわよ」
彼女は明るくそう言うと、僕のカップに少し薄めたミルクを注いだ。
あ~…働き口でも探そうか…
色んな思いを頭の隅に追いやり、僕等はいつもの様に笑い合って朝食を食べた。
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