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「ごちそうさま、美味しかったよ。じゃあ支度してくるから」
出来る限りの笑顔を作って、僕は手に汗と豪華な手紙を握りしめて部屋へ戻った。
パタン
普段は開けっ放しのドアを静かに閉めると、同時に絵の具の匂いが鼻を刺激する。
とたんに音が無くなり、静寂が僕を包んだ。
キーンと耳鳴りがする。
うるさい静寂。
シーリングを剥がす音がやけに部屋に響いた。
まだ確認してなかった手紙を読む。
やっぱりだ。
目眩がした僕はつめたい壁にもたれ掛かったが、足が体重を支えきれずに尻餅をついた。
目の前が暗転する。
この世の終わりを見たような気がした。
やっぱり…僕が思っていた通りの内容だった。
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