柳我 幸 - ユウガサチ

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そんな事を考えても、拉致があかないと思ったのか。 それとも冷めては美味しい物の価値が、下がってしまうと思ったのかはわからないが、女は料理を口にはこんだ。 するとどうだろう。 こんな物食べた事などないのに。 なぜか不思議だ。懐かしい味。 …いや、何か懐かしい思い出が頭を過る。 気がつけば涙が出ていた…。 そしてリクは再び手に何かを持ち、女の席へと戻ってきた。 リクは女の異変に気付き、声を掛けた。 「…?お客様どうかなされましたか?もしや何かゴミでも入っていましたか?」 リクは慌てる事なく問う。 女は笑顔になる。 だがまだ涙は頬をつたい落ちている。 「懐かしい…の。 話、聞いてくれるかしら?」 リクは笑顔ではい。と言う。 女と向かい合わせの席に座り、ただただ無言だ…。 そして女は口を開いた。
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