11人が本棚に入れています
本棚に追加
空の器
今私がいる場所。
誰に聞いても答えられない場所。
誰が探しても見つからない場所。
そして私が私であるための場所。
時の闇に閉ざされて悶える内に、私はここへ流された。
そして目覚めるより早く、崩れ落ちるよりはかなく、悟るより素直に、私は私を知った。
届いて欲しい叫びは水泡となって散り、叶えたい夢は月明かりよりも弱く朧げ。
鉄塔の中腹で私は街を見下ろす。
どこよりも、何よりも、誰よりも失意を見渡せるこの場所で。
最初のコメントを投稿しよう!