始まり

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次はワックスで髪をセットしに洗面所に行かなくてはならない。 下に行くのが面倒くせぇ! これだからは一軒家は! でも弓崎さんに会う為だ! 俺は何でもする! 「ワックスでも何でもするわああ!!」 「おっ、兄貴。今日も決まってますね」 「おぅ、健か。 お前も朝早ぇなあ」 この一軒家には、俺 透乃 叶多 俺の第一の舎弟 里坂 健 第二の舎弟 樋口 信 この三人で住んでいる。 年齢的にこの二人の方が上だが 昔、俺にあるケンカで負け、舎弟になっている。 学校にも舎弟は腐るほどいるが こいつらはまた特別だ。 訳があって三人で暮らしてる。 女っ気もクソもねぇな! 「今日も弓崎さんですか?」 「あぁったりめぇだろが! 俺の弓崎さんへの気持ちは生涯かわることのねぇ気持ちだからな!」 ワックスで髪をセットしながら話す。 同時に二つのことをするとは、俺も案外器用だな。 「ところで弓崎さんは兄貴のこと知ってんですか?」 その言葉が耳に入った途端、俺の眉がぴくりと動いた。 「……」 「え……知らないとか……」 「うるせえええ!! だから毎日毎日弓崎さんが俺の家の前を通る瞬間に家を出て 少しでも印象残るように頑張っとるんだろがああ!!」 「で、でも弓崎さんの学校の通り道がこの家の前で良かったですよね!」 俺はニヤリと健に笑顔を見せ、そうだろ?と呟く。 それこそ奇跡じゃねぇかコノヤロー 運命ってやつじゃねぇの? おい 他校だけどなあ!くそったれ!!  
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