始まり

6/11
前へ
/153ページ
次へ
「髪セット完了!!弓崎さん!」 俺は窓から外を覗く。 弓崎さんらしき人影は歩いていない。 「あぁもう!もう行っちまったか!?」 「あれ? 叶多さん、朝飯は?」 「朝飯だとぅ? それどころじゃねぇんだよ! だいたい信の朝飯はワカメの味噌汁じゃねぇから不満なんだよ!!」 「ちょっとぉ?!何どさくさに紛れて愚痴ってんすか!!」 俺は信を一方的に無視し、家を飛び出た。 「だぁーッ!俺の印象が……」 塀の門を乱暴に開けると 足元から猫がブニャーッと叫び 向こうに走って行った。 「うぉ!?ったく…… 朝っぱら……か……ら……」 「……猫が……」 塀に隠れて見えなかったが そこにはしゃがんでいる天使がいた。 走り去った猫を名残惜しそうに見つめている。 ……弓崎さん! マイスイートエンジェル!! 朝っぱらから幸せじゃねーか!コノヤロー!! 泣いてもいいよな?な?  
/153ページ

最初のコメントを投稿しよう!

217人が本棚に入れています
本棚に追加