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「……」
弓崎さんがすっと立ち上がる。
目が合った。
駄目だ
最高
涙で目の前が歪んで見えるぜこの野郎。
「あ……あの……」
勇気を振り絞り話しかけてみる。
「?」
揺る巻きロングウェーブな茶色い髪の毛が揺れる。
小型な体型に大きい黒い瞳……
制服のセーターが愛くるしいぜ……
「ね、ねねねねこ
好きなんですか?」
「……猫?」
声が……
声が聞けた……
おい信。
今日は赤飯だぜ。
弓崎さんが口元に手をあてて考えこむ。
俺なんかの為に……
「……美羽は……」
「はい!」
「……美羽は、ライオンが一番大好きです」
L I O N !!!
ダイレクト!
猫科が好きなのですか?弓崎さん。
「ど、ど、
どんなところが……その……
スキなんで……ありますでしょうか……」
「……んー……
ご飯食べてるとこ?」
豪快だぜこんにゃろー
「……あの
美羽、お花の水やり当番なんで……
失礼しますね」
「……あ
……はい……お気をつけて……」
弓崎さん……
走って行く姿も愛らしい……
転けちゃいけないぜマイスイート、
って言ってるそばから転けやがった……
「弓崎さ……」
俺が駆け寄ろうとした瞬間、
「大丈夫?」
「あ……はい……」
見掛けねぇ面の男が弓崎さんに駆け寄った。
んんん?
俺より先に弓崎さんに駆け寄ってるのはお前か?お前だな?
決定的瞬間だったよな?
今な?
「……ありがとう……美咲くん……」
「美羽ちゃんたらまた苗字で呼んだ。
冬馬でいいよ」
「……、……冬馬くん……」
「うん、オッケー。
美羽ちゃんも水やり当番だよね
一緒に行こうか」
「あ、はい……」
おいおいおいおいおぉぉおい!!!
ちょっと待ってそこのさらさら髪の毛王子くんんん!?
なに俺の天使さらってんの!!
ブラックリスト行きだなてめー
冬馬だか豆腐だか知らねぇがよぉぉ!!!
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